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女性のためのかつら?医療現場では必要不可欠!
「かつら」というと男性のイメージですが、実は美意識の高い女性にも関心は高いものです。
加齢とともに薄毛になってきて思うようなスタイリングが出来ない、ということもありますが、まず必要不可欠とされるのはがん患者さん。抗がん剤の副作用などでどんどん髪が抜けていく。入院中は帽子やバンダナで頭を保護しています。
ですが、髪が伸びるまでには時間がかかり、病気を完治し退院してもすぐには外に出かける気持ちになれない。そのような苦悩があります。
医療現場で乳がん患者と接してきた筆者が、実際にかつら購入を検討した患者さんたちのお話をもとに各メーカーをご紹介します。
医療用かつら・ウィッグ基礎知識
「髪は女の命」という言葉もあるように、女性にとって髪を失うことは、男性の場合とはまた違う、特別な苦しみがありです。このため、たとえ病気やその治療のためであっても、脱毛が目立つと気持ちが塞ぎこんでしまい、人と顔を合わせることさえつらいと感じてしまう人もいます。でも、そんなに思い詰めた状態では、病状にも悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。
医療用ウィッグには、そういった患者の気持ちに寄り添い、精神面をサポートしたり、生活の質を高めたりする役割があります。
そして、やはり安全安心なものを選びたいものですよね。色々と調べてみました。
(1)JIS規格適合品
医療用ウィッグはJIS規格適合品です。
少し前まで、明確な定義がなかったため、企業によって品質にバラつきがありました。しかし、2015年4月に経済産業省が、医療用ウィッグおよび附属品についての外観、性能、試験方法などを定めたJIS規格を制定したことで、現在では、直接皮膚に接触する部分のパッチテストや、洗ったり汗をかいたりしたときの色落ちなどの試験をJIS基準で行い、その厳しい品質検査をクリアしたウィッグだけが「JIS規格適合品」と認められるようになっています。
(2)抗がん剤治療中の頭のサイズ変化に対応
抗がん剤治療を始めると髪が全体的に抜け落ち、治療終了後に全体的に生えてくるので、時期によって髪の量が大きく変わり、それによって頭のサイズが変化します。このため医療用ウィッグには、髪の量に合わせて、サイズ調整ができるものも多く見られます。
このように医療用ウィッグは、一般的なウィッグに比べて、品質や機能性に優れているのが特徴で、その分、価格も高めに設定されています。
(3)敏感な頭皮にやさしい素材で作られている
病気やその治療で髪が抜けてしまう人は、頭皮がとても敏感な状態になっています。そのため医療用ウィッグは、地肌にやさしい素材を使っていたり、通気性がよかったり、長時間つけたままにしていてもズレたり外れたりせず、それでいて締め付けたりしないような工夫がされています。
(4)毛質は3種類
毛質は3種類あります(人毛、人口毛、MIX毛)。
【人毛】
人毛に特殊な加工をして作られたウイッグです。髪の質感や手触りはとても自然ですが、パーマやカラーができるのでアレンジは出来ますがパーマやカラーをしたウィッグは傷み易く髪色も退色しやすいのでまたカラーをしなくてはいけません。お手入れは、シャンプーの度にセットをしないとなりませんのでお手入れに手間がかかるのがデメリットになります。
・利点・・・見た目・手触りが自然。カットやパーマができる。
職人による手植えが多い。
・難点・・・スタイルが持続できない。髪色が退色しやすい。
シャンプー後のセットが大変。人毛の質が安定していない。
比較的高価。
【人口毛】
人工毛は合成繊維からできているウィッグです。合成繊維の種類には、ポリエステル系やナイロン系がありヘアスタイルの種類も豊富ですが熱や摩擦に弱く耐久性に欠けるのが難点です。テカリもあるので自然さに欠けるため医療用ウィッグとして使用するのはオススメできません。比較的安価で購入できますが機械編みでできているのでネットの部分がチクチクすることがあります。どちらかというと、医療用というより、ファッション目的に向いていると言えます。
・利点・・・スタイルができている。価格が安い。大量生産。
・難点・・・テカリがある。熱や摩擦に弱い。カットできない。
ネットが荒いのでチクチクし易い。安価な物は髪が絡み易い。
【MIX毛】
MIX毛は人毛と人工毛の良い所を併せ持ったウィッグです。割合にもよりますが人毛の自然な質感と人工毛の形状記憶出来る繊維によってヘアスタイルをキープできることがメリットです。手入れも楽でカットやアイロンでアレンジも楽しめるので、医療用ウィッグとしては皆さんにオススメ出来るタイプだと思います。
・利点・・・洗ってもスタイルの持続性がある。カット等のアレンジが出来る。
お手入れが簡単。アイロンが使用できる。職人の手植えが多い。
・難点・・・人工毛の部分が縮れる。パーマやカラーはできない。
各メーカーの比較
大体、「医療用ウィッグ」のことをお分かり頂けたかと思います。
では実際にどのメーカを選んだらよいか、迷ってしまうと思います。そこで、それぞれ口コミや評判を交えながらいくつか紹介していきたいと思います。
1.【スヴェンソン】

ドイツ式増毛と育毛でおなじみのスヴェンソン。髪の悩みをトータルサポートしています。
医療用ウィッグの他、女性の薄毛にも対応しています。
「大手ブランド」という安心を手にしたいという方には大変おすすめです。
公式HPを見る限り、料金は高めのようです。ただ、予算に合わせた提案をしてくれるのでまずは相談してみても良いと思います。
使用者に合わせてサイズ、毛髪の色や長さを調整する「セミオーダーウィッグ」のため、自分の髪のようなナチュラルな仕上がりが特徴的です。
美容師資格を持ったスタイリストがカットやブローを担当してくれます。
人毛+人工毛を使用し、見た目の自然さと手入れのしやすさといった、いいとこ取りなウィッグです。取り扱っているウィッグの数は国内最大級!即日納品も可能です。さすが大手ですね。
JIS規格に適合した治療中の頭皮に優しい素材にこだわり開発された医療用ウィッグが見られる。スヴェンソンが「第24回日本乳癌学会学術総会」と「第21回日本緩和医療学会学術大会」に展示ブースを出展#スヴェンソン #ウィッグ #コフリー pic.twitter.com/fOH6wsPzQT
— Cofree公式(コフリー) (@AllCofree) June 18, 2016
病院の売店で購入できる、1万円の低価格医療用ウィッグ発売
— ㅤ (@ketsuaru) December 22, 2016
スヴェンソンはこのほど、気軽に使用できる医療用ウィッグ「おうちdeウィッグ」を全国の病院売店で販売開始した。 https://t.co/RgJJEemplw
長年にわたる研究の為、スタッフはウィッグについてはもちろん、治療中の毛髪や頭皮についての経験・知識が豊富です。「毛髪技能士」の有資格も多いとか。
様々なサポート、自宅や病院への訪問による相談・取り付けも実施されています。完全個室対応の美容室、サイズ調整は何度でも無料なのはうれしいですね。
2.【With】

2002年に設立された比較的新しい日本のウィッグメーカーです。職人の手作業で作られるオーダーメイドのウィッグで、ショートスタイルからロングまで幅広いヘアスタイルに高い技術が魅力です。
オーダーメイドは、「全ウィッグ(全頭ウィッグ・フルウィッグ)」と「部分ウィッグ(部分ウィッグ)」の2種類です。頭全体にすっぽりとかぶる全ウィッグは、現金一括払いで168,000円。製作におよそ45日。これに対して部分ウィッグは、現金一括払いで148,000円。
どちらもカット代込みで10万円台!オーダーメイドなのに10万円台なんです!WITHは良心的です。業界内でもリーズナブルな値段となっています。
こちらでは、通常のウィッグよりも薄くて軽いです。そして、分け目やつむじも驚くほど自然な仕上がりになります。
また、特殊な植毛法によって分け目を自在に変えられるので、その日の気分でスタイルを楽しむことができるのがうれしいですね。
毛髪は、人毛・人工毛どちらでも作製できますが、自然さから人毛を推奨されます。その素材には、日本人の髪質に合っているといわれる中国人の人毛を使用しています。 カラーは好みの色を選択することが可能です。
かつら専門店With【東京・自由ヶ丘】お客様へメッセージ♪
— katura_with (@katura_with) July 23, 2016
男性用・女性用・医療用ウィッグ。14万8千円より。https://t.co/lQkCOAdTWO
#かつら #wig
お店は一般の美容室のよう。
すべての工程を担当のスタイリスト(プロの美容師・理容師)がマンツーマンで担当してくれます。ウィッグの完成後も、担当スタイリストであるプロの美容師・理容師によってカットで仕上げてくれます。プロの美容師・理容師さんがカットするので自毛のカットもしてくれます。ウィッグを購入したあとはWITHショップで調整カットやメンテナンスも受けられます。
使っていて髪の色や長さなどで気になることが出てきたら、近くの提携ヘアショップや理容室・美容室で相談することも出来ます。
3.【ANCS】

アートネイチャーがプロデュースする医療用ウィッグです。
ANCSは、独自に開発された、デリケートな頭皮に優しくて柔らかく軽いベースを採用しています。そのため、治療中の頭皮に負担も刺激も与えることなく、安心して着用できるのが特徴です。
また、アジャスターがついているためサイズ調整が出来る、ということが特徴の1つです。治療終了までの段階で頭のサイズは変わります。ANCSはサイズ調整のアジャスターがつけているので、サイズが変わっても買い換える必要がありません。
スタッフが病院や自宅まできてくれるので、入院中でも自宅療養中でもウイッグを作ることが出来ます。
さらに1年間、月1回の無料メンテナンスサービスも充実していることもうれしいですね。
【看護】 アートネイチャー、「第31回日本がん看護学会学術集会 付設展示会」に医療用ウィッグ『ANCS(アンクス ...: 毛髪に関する総合サービスを提供する株式会社アートネイチャー(本社:東京都渋谷区… https://t.co/m06rZwbySw #看護
— 医療ニュース速報 (@Medical_News_J) January 31, 2017
オーダー方法はセミオーダースタイル、簡単な3つのステップで完成します。
まずは自分がどんなスタイルにしたいかを決めます。
次に、カラーを選んで、最後に自分の頭に合わせてカットやセットをしながらスタイリングしていきます。
アレンジの幅が広いと言うのは女性として嬉しいところですよね。
これだけで自分にぴったりのウイッグができるので、フルオーダーのように時間をかけることなくその日のうちに購入できます。
また、アートネイチャーは日本国内各地にサロンがあります。
170店舗というのは心強いですね。
4.【フォンテーヌ】

言わずとしれた大手ブランドメーカーです。フォンテーヌの店舗は全国に多数ありますし、テレビCMでも頻繁に流れているので見かけることも多いと思います。
価格帯は幅があり高額のものもありますが、高品質なものがほとんどなので満足度も高いようです。メーカーとしての長い歴史がありますし、信頼できるブランドです。
フォンテーヌのウィッグは販売店に行って試着して、お店の人とよく相談しながら自分に合うものをしっかり見つけて購入することをおすすめです。
フォンテーヌのウィッグは、4つのタイプがあります。
・すっぽり覆うフルウィッグ
・自毛を生かした自然なスタイルチェンジに最適な六分ウィッグ
・ボリュームアップや気になる分け目に部分的につけるトップピース
・えり足につけてアレンジを楽しめるヘアパーツタイプのポステ
用途に合わせて選ぶことができるのが嬉しいですよね。
裏にはアジャスターがついており、簡単にサイズの調整が可能です。
蒸れや暑さが軽減される工夫が施されており、サラッとしたつけ心地。夏でも通気性がよく不快感がありません。また、抗菌・防臭加工が施された上、自宅でも手軽にシャンプーやトリートメントができるので、いつでも清潔な状態を保っていることができます。より自然な分け目のスキン(人工肌)付タイプもあって「選びがい」があります。
オーダーメイドのウィッグだと、アンダーキャップ不要です。快適なつけ心地です。
わたしのは楽天の2000円のだけど、美容院で医療用のフォンテーヌを試し被りさせてもらったら、すごく軽くてびっくり!
— 臨床心理士みる@ (@millmillmilkco) December 22, 2016
それに近いくらい軽くすいてもらいました❤︎
大手ブランドだけあって、アフターケアにもとても力を入れています。
購入6ヶ月以内なら、シャンプー&リンス&スタイリングのサービスを受けられたり、ヘア部分が静電気で絡まりやすくなっている場合、静電気直しなども無料でしてもらえます。
美容師免許を取得しているスタッフによる無料自髪カットサービスもあります。もちろん6ヶ月後以降でも有料になりますが、受けることができます。